もくじ
自律神経ってなに?
自律神経とは、活動や集中、食べた物の消化・吸収・排泄、呼吸・血圧の調整や血液循環など生命機能をうまく維持させるために働く、自動調節機能をする神経のことをいいます。
自分で意識して胃腸や心臓の働きをよくしたり、緩やかにできる人っていませんよね。しかし意識しなくても、人間の体は自律神経が全自動的に調節してくれています。
また自律神経は「交感神経(こうかんしんけい)」と「副交感神経(ふくこうかんしんけい)」の2つにわかれ、それぞれがシーソーのように互いにバランスを取りあって、一方が優位に働けば、もう一方は働きを抑制して日常生活を送れるようにしてくれています。
僕みたいな医療従事者であれば知ってて当たり前の知識になるのですが、自律神経のことを初めて知った時は
「ん?こうかんしんけい?ふくこうかんしんけい?何のことかわからん!」って思っていました。
そういう方にもう少しく詳しく説明していきますね。
自律神経の交感神経(こうかんしんけい)って何をしてるの?
交感神経(こうかんしんけい)をわかりやすく一言でいうと、日常生活を送る上での【活動モード】の担い役です。
交感神経【活動モード】は日中、体や頭を動かして活動させるためにはたらいています。日中に眠くならずに仕事や家事を活動的に行えたり、元気に運動できるのも交感神経【活動モード】がうまく働いてくれているおかげなのです。
交感神経【活動モード】のはたらきをまとめると、こんな感じです!
- 心と体の緊張
- 脳・神経の興奮
- 末梢血管の収縮
- 筋肉の緊張
- 心拍数の増加
- 血圧を上げる
- 呼吸を速くする
- 気管支を拡げる
- 瞳孔を開く
- 涙の量を減らす
- 唾液の量を減らし、粘っこくする
- 胃腸の動きを減らし、消化液も減らす
- 肝臓はグリコーゲンを分解する
- 膀胱は緩み・直腸は閉まり、排泄しにくくする
- 子宮は縮小
- 白血球総数・顆粒球を増加させる
自律神経の副交感神経(ふくこうかんしんけい)って何をしてるの?
副交感神経(ふくこうかんしんけい)をわかりやすく一言でいうと、日常生活を送る上での【休息モード】の担い役です。
副交感神経【休息モード】は、食べた物を消化・吸収・排泄するために内臓を働かせたり、気持ちをリラックスさせ、その日に溜まった疲労を回復させるためにはたらきます。
きちんと睡眠が取れたり、体が成長・回復するのは副交感神経【休息モード】がうまく働いてくれているおかげなのです。
副交感神経【休息モード】のはたらきをまとめると、こんな感じです!
- 心と体のリラックス
- 脳・神経の安静
- 血管の弛緩
- 筋肉の弛緩
- 心拍数の減少
- 血圧を下げる
- 呼吸をゆっくりにする
- 気管支を狭める
- 瞳孔を縮小させる
- 涙の量を増やす
- 唾液の量を増やし、サラサラにする
- 胃腸の動きを活発にさせ、消化液を増やす
- 膀胱は縮まり、直腸は開く、排泄しやすくする
- 子宮は拡張
- 白血球総数を減少させる、リンパ球を増加させる
なぜ、人の体には自律神経という機能が備わっているのか?
自律神経が備わっている理由を理解するには、昔の人間の生活を考えるとわかりやすいです。
人は古来、狩りで動物を仕留め、自然にできている植物を広い、それを食べて生活をしていました。
当時は常に身の危険にさらされていました。狩りをして獲物を得るには
- 思考を巡らせ(脳神経の興奮)
- 遠くにいる獲物を探し(瞳孔を開く)
- 体を使って走り(筋肉の緊張・心拍数の増加・血圧の上昇・呼吸を速くし、気管支を拡げる)
- 道具を使い(筋肉の緊張)獲物を仕留めないといけません。
また自分より強い動物がやってきた時には
- 敵を発見し(瞳孔を開く)
- 走って(筋肉の緊張・心拍数の増加・血圧の上昇・呼吸を速くし、気管支を拡げる)逃げなくてはなりません。
そんな時には、お腹が空く感覚や排泄をもよおすことはなく、狩りや逃げることに集中しています。(胃腸の働き抑制・排泄しにくくする)
以上の内容は全て、交感神経が優位に働いて状態です。
次に副交感神経のはたらきについて説明していきます。
狩りから家に戻ると心と体はリラックスし、脳・神経や呼吸は穏やかになり、血圧も下がります。胃腸が動き、お腹が空き始めます。
唾液が多く分泌され、食べ物が喉を通り内臓でスムーズに消化・吸収されていきます。そして尿意や便意を催し、排泄が行われます。
また睡眠を取ることで、その日の疲れを取りながら、また次の日に活動できるような体づくりをしていきます。
以上が副交感神経のはたらきによって、もたらされる作用です。
このようにして自律神経がうまく働き、私たちの生命活動を維持してくれているのです。
現代の日本の生活では狩りをして遠くの獲物を見つけたり、走り回ったりすることは滅多にありませんので、狩り=仕事・家事などに置きかえると良いと思います。
自律神経と感情のつながり
自律神経は感情とも深くつながり連動しています。
交感神経は「怒り・イライラ・憤り・妬み・恨み・恐れ・不安・歓喜・楽しい」といった感情と連動しています。
また副交感神経は「悲しみ・さみしさ・落ち込み・懐かしみ・安らぎ・感謝・リラックス」 といった感情と連動しています。
こういった感情を抑え込んでしまうことで自律神経のバランスが乱れ、あらゆる身体の不調が現れることになります。
まとめ
- 自律神経は生命活動に欠かせない自動調節機能。
- 自律神経は交感神経と副交感神経でバランスを取り合っている。
- 交感神経=【活動モード】
- 副交感神経=【休息モード】
- 自律神経は感情と連動している。
自律神経には、このような特徴があります!交感神経と副交感神経がバランス良く働いていれば、健康な状態を維持できるのですが、どちらかの働きが過剰になったり、逆に弱くなったりすると様々な病気や症状が現れてきます。